みつはの備忘録

漫画とかラノベとかアニメの感想とか

【ラノベ】『これは学園ラブコメです』(草野原々) 紹介&感想

これは学園ラブコメです!

 

学校で教えられた作文の基礎「文体を統一しましょう」これってブログでもやらなきゃダメですか?どうもくろみつはです。

 

今回はSF作家草野原々先生初のラノベ作品、ガガガ文庫より発売された

『これは学園ラブコメです』についての感想…というより紹介です。

 

作品紹介

      ããã¯å­¦åã©ãã³ã¡ã§ãã (ã¬ã¬ã¬æ庫 ã 4-1)

著者:草野原々

イラスト:望月けい

出版レーベル:小学館ガガガ文庫

          

この作品、いままでラノベを敬遠していた”読書家”の皆様、SFとか普通の小説も興味あるけど難しそうって思っていた”ラノベ愛好家”の皆様、ラノベみたいに頭からっぽで楽しめる作品こそ至高という”ラノベ中毒”の皆様全員に是非読んでいただきたい。

 

そして、感想をいただきたい。この平成最後のラノベ界の”問題作”について

 

 

 

 

なんて専門家気取りでカッコいい文章を書き連ねましたが、正直に申しますとこの本を手に取ったきっかけは、ラノベあるあるの ”絵につられた” からです。

 

イラスト担当の望月けいさんのtwitterでこの作品を知り、作者を調べると以前から気になっていたハヤカワ文庫の「最後にして最初のアイドル」と同じ作者ということで同時購入。

まずは読みやすそうなラノベからと思ったのですが…してやられた。

 

 

本帯にあるこの言葉

”これは学園ラブコメだ。”

”誰が何を言おうと学園ラブコメなんだ。”

こうも再三再四言われると、どうせ学園ラブコメじゃなくて得意のSFなんでしょと高を括っていた自分が恥ずかしい。

 

これは確かに”学園ラブコメ”あった。

 

正確にいえば”SF”にも”ファンタジー”なる可能性はあった。

しかし最後まで読むと、なるほど確かに”学園ラブコメ”のである。

 

 

 

さて、ここまで散々引っ張りましたが、今の時点でこの作品に興味がある人は今すぐ買いに行って、裏表紙のあらすじなんか読まずに本文を読み始めましょう。

 

 

 

 

 

 

あらすじ

俺の人生、なんだかラブコメみたいだな。
主人公である高城圭はそう思った――。

そうだ! お前はラブコメの主人公であり、SFとかファンタジーとかそんなジャンルのキャラではない! だから大人しくラブコメらしい展開に従ってくれえええ! 
嘆くその影は言及塔まどかこと、虚構を司る力が擬人化された存在。

そう、これは、まどかと圭が七転八倒しながらラブコメの世界をSFやらファンタジーの浸食から守り抜く物語。
SF界の超新星が描く、ハイテンション×メタフィクション学園ラブコメ開幕!

って、俺の高校生活、一体どうなっちゃうの~~!?

*1

 

はいってことで、あらすじにあるように本作はバリバリのメタフィクション作品です。

なにも知らずに読んだ方が面白いと思うんだけどなー。書かないといけないんですかね

 

 

メタフィクションって何って方はとりあえず本作を読むか、ググってください。

 

アニメやラノベが好きな僕たちのよく知っている例でいくと

前回記事にした「物語」シリーズなんかではよく用いられる手法ですね。

 

「アニメ版ではこうだったじゃないか」とか「誰に向かってしゃべってるの」とか簡単に言えば、いわゆる”メタい”って呼んでる表現のことです。

 

 

この作品の主人公高城圭と言及塔まどかはこの作品が誰かの作り物であることを知っています。

その上で彼らは自身の世界の崩壊を防ぐため”学園ラブコメ”を必死に作り上げるのです。

 

 

感想

なんでもありかよ!これにつきる。

 

創作の限界を平気で越えてくる。えらそうなこと書いてるわりには基本的にラノベしか読まない僕には衝撃的な作品でした。

 

内容は文句なく面白い。声を出して笑えるシーンもあった。

ヒロイン3人衆はともかく、物語を紡ぐのに必死なまどかは可愛かったです。(作品的にはこっちがヒロインか)

 

 

 

けれどもこれがライトノベルかと聞かれると難しい…

特に一般小説を好んで読むことの少ない僕には…

 

でもやっぱり既存のジャンルで分けろと言われたら、やっぱりライトノベルになるんじゃないかなぁ。

 

というのもこの作品、どこまでもライトノベル的に書かれているんですよね。

僕はまだ作者のデビュー作「最後にして最初のアイドル」を読めていませんが、あちらがSF小説として一定の評価を得ている以上、作者はSF的な書き方をする人(できる人)なんでしょう。

 

しかし今作はむしろ他のどのライトノベルよりもライトノベル的に書かれているように感じました。

 

世の中ライトノベルと聞くだけで見下したり、文学作品というだけで手をつけなかったりする人が多いですが、(後者は僕ですが…)

そもそもジャンルを明確に分けようとすること自体無粋なのかもしれませんね。

 

 

閑話休題

とにかくいい意味で”問題作”。

 

一時期「ガガガがやらなきゃ誰がやる!」ってキャッチコピーを掲げていたガガガ文庫ですが、その看板に恥じない斬新な作品だとおもいます。

僕の知識が不足しているだけだったら恥ずかしいですが…

 

 

平成の終わりにこの作品と巡り合えたことに感謝しつつ、他の人の感想を漁る僕なのでした。

 

 

*1:小学館HPより引用

【ラノベ】『余物語』(西尾維新) 感想&メモ

『物語』シリーズもう第何弾だかわかる人いない説

どうも、ブログタイトルで悩み中のくろみつはです。

2回目の記事です。お手柔らかに

 

さて今回は人気作『物語』シリーズ。

2009年にアニメ化されて以来、今でもアニメプロジェクトが動いてるってなかなかのコンテンツですよね。

阿良々木暦の大学時代を描く『モンスターシーズン』の第3作『余物語』

内容、時系列的には前回の『宵物語』の続きになります。

         f:id:kuromitsuha:20190422174258p:plain

斧乃木余接とも思えば長い付き合いになった」 

ってことでタイトルに”余”とあるように今回は斧乃木余接にスポットをあてたお話。

 

前回の『宵物語』と同じく阿良々木くんメインの本編『よつぎバディ』と撫子メインの短編『よつぎシャドウ』の2本立てとなっています。

 

 

ちなみにキャッチコピーは「100%趣味で書かれた99(つくも)神」

西尾維新通算99作品目ということで、九十九神とかけてたりします。

 

 

『よつぎバディ』

あらすじ

「私は三歳になる自分の娘を、どうしても可愛いと思えなくって、虐待しそうになってしまうの」老倉育によって児童虐待の専門家に仕立て上げられた阿良々木暦は、家住准教授から突然相談を持ちかけられる。家住准教授の自宅、とあるマンションの333号室で阿良々木暦斧乃木余接が目にしたのは異様な光景だった。

 

 

前回の「宵物語」紅孔雀ちゃんの事件に引き続きテーマが児童虐待ということで、

思い返せば「化物語」の戦場ヶ原ひたぎ八九寺真宵神原駿河千石撫子羽川翼いずれも形や程度の違いはあれど怪異の原因に親との確執がありました。

今回は阿良々木暦が目を背けてきたもの。親の立場で問題に向き合うことになります。

 

登場人物

阿良々木暦・・・・主人公。元吸血鬼もどきの大学生

斧乃木余接・・・・死体人形の付喪神童女

・家住羽衣・・・・・曲直瀬大学に勤務する講師。准教授

・家住唯々恵・・・・家住羽衣の娘

阿良々木月火・・・阿良々木暦の小さいほうの妹。不死身の怪異

忍野扇・・・・・・忍野メメの姪であり甥。分身

・食飼命日子・・・・阿良々木暦の大学の友人。

老倉育・・・・・・阿良々木暦の幼馴染。

羽川翼・・・・・・阿良々木暦の恩人。元同級生

 

 

『よつぎシャドウ』

あらすじ

斧乃木余接に連れられて向かった先で千石撫子は専門家の元締め臥煙伊豆湖に出会う。「早速だけど助けてもらえるかな」マンションの一室で起こった連続首吊自殺未遂事件。被害者の首筋にはいずれも蛇の鱗の痕跡が刻まれていた。

 

 

元神様で現在は漫画家志望の引きこもり千石撫子は家探しの真っ最中。

前回の影縫余弦からの試験に引き続き、今度は元締め臥煙伊豆湖からの試験に挑む。

 

登場人物

千石撫子・・・・・漫画家志望の引きこもり。中三。元神様

斧乃木余接・・・・死体人形の付喪神千石撫子の理解者

阿良々木月火・・・千石撫子の親友。不死鳥

臥煙伊豆湖・・・・何でも知ってるお姉さん。専門家の元締め

 

 

感想(以下微ネタバレあり)

 

あれ、『忍物語』読んでなくね?

デストピアヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスターって誰ぞってなったけど、ストーリーに引き込まれてそのまま読了。

愚物語』、『結物語』は読んでないこと自覚してたけど『宵物語』の時なんで気づかなかったんだ…

まあ、個人的に西尾維新作品は割とどんな順番で読んでも楽しめると考えてるので、

関係四部作とかが良い例。

アニメ版を『終物語』まで一通り見た人なら問題なく楽しめると思います。

短編の『よつぎシャドウ』は『撫物語』を読んでおくとより楽しめるかな。

 

いつも通りの西尾節全開で劇場で先行上映されたアニメ版『続・終物語』のメタも盛り込まれています。見ていない人は5/18 24時から地上波放送あるらしいのでチェックだ!

 

 

個人的になんですが、モンスターシーズンになってからなんとなく「戯言」シリーズのような妙な緊迫感を感じるようになりました。

家住准教授の手紙のとことか不気味すぎてホラー耐性皆無の僕には辛かった。

多分怪異現象から事件に入るのではなく、事件から怪異との関係を探るって形になってきたからですかね?

 

表紙の可愛らしい新デザインの斧乃木ちゃんとは裏腹に内容は児童虐待と結構ヘビー。檻の中に閉じ込められた人形に同じ人形である斧乃木ちゃんも思うところがあるのか、いつも通りの軽い会話にもどこか重い雰囲気が漂います。

 

僕が抱いた感想としては『よつぎバディ』は虚構と現実が曖昧になるお話でした。

家住准教授が語っているのはどこまでが真実でどこからが妄想なのか。いやそもそも妄想であることを自覚しているのかしていないのか。彼女自身が怪異なのかそれとも怪異に憑りつかれているのか。

 

そしていつにもましてミスリードがすごい。扇くんの推測が全くの的外れなのは、阿良々木くんが知ってる事しか知らないからなのでしょうね。

とにかくストーリーが二転三転どころか七転八倒して、事件解決後も僕の頭が大混乱しているところに久しぶりの羽川大先生登場で何とか腑に落ちました。

 

さて、頼れる専門家斧乃木余接阿良々木暦のもとを去ったことで、次回からは本格的に一人で事件に立ち向かう必要がありそうですね。

いつまでもいい人でありすぎる阿良々木くんが「いい大人」になれる日はくるのでしょうか。

 

 

『よつぎシャドウ』は阿良々木くんに変わるニュー主人公。我らが撫子のパートです。臥煙さんに怒られたトラウマで影に隠れてる斧乃木ちゃんが可愛いです。

 

撫子は『撫物語』『宵物語』の件で専門家たちから随分高く評価されているようですね。斧乃木ちゃんからは異常なまでに信頼されてますし、かつてひと悶着あったはずの臥煙さんからも気に入られている様子。

それにしても「なでっこ」ってまた変なあだ名付けて…「せんちゃん」「撫公」

忍野からはなんてよばれてたんだっけ?

 

ちょくちょく出てきたような気がする洗人とは流れ的に次の『扇物語』または『死物語』で対決することになるようです。

 

 

 

モンスターシーズンのタイトルってこれまでの登場人物を文字ってつけられているようですけど、『死物語』は死屍累生死郎なんですかね?

 

 

大暮維人先生のコミック版も確か同時発売だった気がするから買わねばー

 5/11の『物語』フェスで新プロジェクト発表とかないかなー