【ラノベ】『これは学園ラブコメです』(草野原々) 紹介&感想
これは学園ラブコメです!
学校で教えられた作文の基礎「文体を統一しましょう」これってブログでもやらなきゃダメですか?どうもくろみつはです。
今回はSF作家草野原々先生初のラノベ作品、ガガガ文庫より発売された
『これは学園ラブコメです』についての感想…というより紹介です。
作品紹介
著者:草野原々
イラスト:望月けい
この作品、いままでラノベを敬遠していた”読書家”の皆様、SFとか普通の小説も興味あるけど難しそうって思っていた”ラノベ愛好家”の皆様、ラノベみたいに頭からっぽで楽しめる作品こそ至高という”ラノベ中毒”の皆様全員に是非読んでいただきたい。
そして、感想をいただきたい。この平成最後のラノベ界の”問題作”について
なんて専門家気取りでカッコいい文章を書き連ねましたが、正直に申しますとこの本を手に取ったきっかけは、ラノベあるあるの ”絵につられた” からです。
イラスト担当の望月けいさんのtwitterでこの作品を知り、作者を調べると以前から気になっていたハヤカワ文庫の「最後にして最初のアイドル」と同じ作者ということで同時購入。
まずは読みやすそうなラノベからと思ったのですが…してやられた。
本帯にあるこの言葉
”これは学園ラブコメだ。”
”誰が何を言おうと学園ラブコメなんだ。”
こうも再三再四言われると、どうせ学園ラブコメじゃなくて得意のSFなんでしょと高を括っていた自分が恥ずかしい。
これは確かに”学園ラブコメ”あった。
正確にいえば”SF”にも”ファンタジー”なる可能性はあった。
しかし最後まで読むと、なるほど確かに”学園ラブコメ”のである。
さて、ここまで散々引っ張りましたが、今の時点でこの作品に興味がある人は今すぐ買いに行って、裏表紙のあらすじなんか読まずに本文を読み始めましょう。
あらすじ
俺の人生、なんだかラブコメみたいだな。
主人公である高城圭はそう思った――。そうだ! お前はラブコメの主人公であり、SFとかファンタジーとかそんなジャンルのキャラではない! だから大人しくラブコメらしい展開に従ってくれえええ!
嘆くその影は言及塔まどかこと、虚構を司る力が擬人化された存在。そう、これは、まどかと圭が七転八倒しながらラブコメの世界をSFやらファンタジーの浸食から守り抜く物語。
SF界の超新星が描く、ハイテンション×メタフィクション学園ラブコメ開幕!って、俺の高校生活、一体どうなっちゃうの~~!?
はいってことで、あらすじにあるように本作はバリバリのメタフィクション作品です。
なにも知らずに読んだ方が面白いと思うんだけどなー。書かないといけないんですかね
メタフィクションって何って方はとりあえず本作を読むか、ググってください。
アニメやラノベが好きな僕たちのよく知っている例でいくと
前回記事にした「物語」シリーズなんかではよく用いられる手法ですね。
「アニメ版ではこうだったじゃないか」とか「誰に向かってしゃべってるの」とか簡単に言えば、いわゆる”メタい”って呼んでる表現のことです。
この作品の主人公高城圭と言及塔まどかはこの作品が誰かの作り物であることを知っています。
その上で彼らは自身の世界の崩壊を防ぐため”学園ラブコメ”を必死に作り上げるのです。
感想
なんでもありかよ!これにつきる。
創作の限界を平気で越えてくる。えらそうなこと書いてるわりには基本的にラノベしか読まない僕には衝撃的な作品でした。
内容は文句なく面白い。声を出して笑えるシーンもあった。
ヒロイン3人衆はともかく、物語を紡ぐのに必死なまどかは可愛かったです。(作品的にはこっちがヒロインか)
けれどもこれがライトノベルかと聞かれると難しい…
特に一般小説を好んで読むことの少ない僕には…
でもやっぱり既存のジャンルで分けろと言われたら、やっぱりライトノベルになるんじゃないかなぁ。
というのもこの作品、どこまでもライトノベル的に書かれているんですよね。
僕はまだ作者のデビュー作「最後にして最初のアイドル」を読めていませんが、あちらがSF小説として一定の評価を得ている以上、作者はSF的な書き方をする人(できる人)なんでしょう。
しかし今作はむしろ他のどのライトノベルよりもライトノベル的に書かれているように感じました。
世の中ライトノベルと聞くだけで見下したり、文学作品というだけで手をつけなかったりする人が多いですが、(後者は僕ですが…)
そもそもジャンルを明確に分けようとすること自体無粋なのかもしれませんね。
閑話休題、
とにかくいい意味で”問題作”。
一時期「ガガガがやらなきゃ誰がやる!」ってキャッチコピーを掲げていたガガガ文庫ですが、その看板に恥じない斬新な作品だとおもいます。
僕の知識が不足しているだけだったら恥ずかしいですが…
平成の終わりにこの作品と巡り合えたことに感謝しつつ、他の人の感想を漁る僕なのでした。